先輩ノート
IT戦略室に所属する岡と松野は、入社5年目と入社3年目の若手社員だ。
仕事で窮地に陥っている後輩を見るに見かねて、フォローに入った先輩。
「お前、これに書け」と渡した1冊のノートには、
先輩の熱血レクチャーと後輩が学んだ知識が詰まっている。









 

”炎上した”後輩を助けに入った先輩


岡:松野とは、2013年からチームは一緒だけど同じ案件をしたことがなくて、仕事上の接点はあまりなかったんですよ。ちょうど手が空いた時期に松野が“炎上”していて(笑)。
松野:2014年の春頃、サーバ更新の案件を担当していて、私の下に協力会社の方が3人いました。当時、まだ人を使った経験がなかったんです。日を追うごとに工数は増える一方で、案件も終わりそうにない。どうしよう?と。
岡:松野は忍耐強い性格だから、ギリギリまで孤軍奮闘していたんだよね。
松野:限界を超えるまで誰にも相談せず、一人で抱え込んでしまっていたんです。
岡:仕事の負荷がかかりすぎていて、松野が倒れるのが目に見えていたので、(これは助けに入らないといけないな)と。その案件は、3年目の社員が担当するには、少々荷が重かったのも一因だったと思います。
松野:私の案件を手伝っていただきながら、技術的なことはもちろん、ベンダーの管理方法といった仕事の進め方や考え方をイチから教えてもらいました。
岡:当時の松野は、仕事の流れを組み立てて、割り振りすることがよくわからないまま、仕事をしていたんです。プロジェクトでは、失敗しながら軌道修正することがよくありますが、彼女にはそうした経験値が少なかった。後になればなるほど状況が悪化していったというか。
松野:そんな経緯から、岡さんに仕事を教えてもらうことになったんです。薄いノートを渡されて「来月までにこのノートいっぱいに学んだことをメモしてみて。いろいろな分野の知識がきっと身につくから。とにかくどんどん学んだことをメモしていこう」と。就業後に熱血レクチャーを受けることもありましたし、めちゃくちゃ贅沢な学び方ですよね(笑)。



SSSには仕事を教える文化がある


岡:実は、自分も上司に手厚く教えてもらった経験があるんです。2012年、入社3年目のときにネットワーク系のチームで当時の上司に鍛えられました。毎週末に17時から1時間、40歳の上司と25歳の自分がマンツーマンで議論する時間を作ってくれたんですよ。実際は1時間では終わらず、3時間くらい議論していたんですけど。議論のテーマは、ベンダーとの仕事の進め方についてといった仕事の課題と直結した内容でした。担当していた案件数が多かったこともあって、人を使って仕事をどう進めるかを1年間ですごく学びました。
松野:そうだったんですね。ノートをいきなり渡されたときは「ええ!」って驚きました。
岡:仕事内容は教えても、“仕事の進め方”は教えてもらえないことのほうが多いんですよ。でも、SSSには教える文化があります。いろんな人がいろんな人を教えるけど、形に残らない。じゃあ残してみればって、ふと思いついて、松野にノートを渡したんですよ。薄いノートでも1冊が全部埋まったときに自分が成長しているのが実感できるかなとも思って。何かわからないことがあったときに見返せば、教えてもらったことを思い出せるし。あと、「ノートに書いていることを知らないって言ったら怒るぞ」という意味も(笑)。
 






周りに教えてもらいながら経験値を積み上げる


岡:仕事をしていると、わからないことってたくさん出てくるけど、わからないことがわからない状態が一番まずいですよね。テクニカルがわからないのか、経験でわからないのか、仕事の向かう先がわからないのか。テクニカルなところは調べればわかるんですよ。経験の部分、仕事の進め方や人の使い方は調べてもわからないし、こればっかりは周りに教えてもらいながら経験値を積むしかない。
松野:わからないときにノートを見返して、(ああ、前にやったな)と思い出すこともあります。以前は、タスクをメモしていただけで、業務のノウハウは残していなかったんですよ。今ではこのノートに日々助けられています。
岡:松野に教えたことの一つに、ベンダー管理の仕方があります。ある作業をベンダーに一括請負で依頼したとする。そのときにSSSの立ち位置はどこか、双方の仕事の範囲や責任の所在を明確にしておかないと仕事が進まないんですよ。でも、当時の松野は仕事の範囲が全くわかっていなかった。うまく仕事が進められなかったのは、自分の仕事の範囲外に手を出したからだったんだよな。今ならきっと、あの仕事は一人で終えられるし、大したことなかったなって思うはずだよ。
松野:そうかなあ。
岡:でも、私が大阪本社に異動になったから、個人レッスンはできないね。
松野:このノートは岡さんの形見として(笑)。まだ学びたいことがいっぱいあったから残念です。だからといって、「何でですか?」って尋ねすぎると、周りに嫌われちゃうかなとも思うし……。
岡:真面目でいいと思うよ。4月の頃に比べると松野は飛躍的に伸びたけど、4月にはまた新しい後輩が入社するし、より先輩らしく、一人で仕事が回せるようになってほしいね。